現代は新宗教ブームだと言われますが、それらの『宗教』に見られる重要な誤りは、因果論の悪用です。
多くの新宗教、天台修験系、真言宗醍醐派系列及び日蓮系行者の共通点を冷静に考えてみますと、
先祖の迷う霊があるから子孫の病因等の不運不幸があるとするもので、
これは正統仏教の因果論とは根本的に異なる邪説です。
善因善果、悪因悪果はその行為をした者に現われるというのが正しい仏教の説です。
次に甚だしいのは先祖の戒名が悪いから成仏できず、したがって諸厄病、不運の元となるとする説です。
過去帳を新しく作り戒名を変えさせて巨大教団になったのもあります。
先祖は過去の人であるのに、どうして子孫が苦しむ原因となるのでしょうか。
先祖の供養不足が原因になるのなら、仏教徒のみが先祖供養するが故に却って不幸を招くことになります。
こんな話はないでしょう。これも霊魂実在説という迷信から生れるのです。
正しい仏教では、いかなる高位高官でも不運不幸となる原因は故人自身の罪業にあるとします。
後年生まれた、何百年も後に生まれた子孫が、
遠い先祖の業を受けねばならぬというような因果の説明は虚説であります。
先祖の悪業が迷いの原因となり輪廻して苦界にさまようなことに、子孫が責任を問われる筋はありません。
これは全くの似而非仏教であり、ナンセンスとしか言いようがありません。
疑似仏教団が発行する本は、仏教語の悪用が多く、羊頭狗肉もいいところです。
最近は真言宗を自称しても、正しい真言宗の教でないのが多いようです。
○○○と○○○には注意しなければなりません。
本尊仏として、真言宗のお寺の如く不動明王や弘法大師、大日如来を安置しても、
その教義内容は外道の邪説を根本にしております。勝手に真言宗を名乗るのですが、
これは詐称でしょう。
人の霊魂実在を信じる者が、熱心になればなるほど、鬼魔邪霊が、
その迷う心を好んで憑依し、
取りつくことになります。怪しげな鬼神と交渉する、霊能者と称する者の話や、浄霊教を信じる前に、
仏教の根本の教えを聞法することが必要です。
書店に並ぶ霊魂宣伝書も同類が多いから、専門家の本を読むことです。
それらの本には霊魂が障ることを書いたものはない筈です。
今の世に流行るのは、要するに素人用霊魂説であります。
論証の方法がないからです。邪説に迷わない人は信じないから、
悪霊があっても祟られる原因がないので何の障りとなることもなく平気でいます。
仏教で説く転生の実相は四十九日以内にあるとします。
即ち地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天界に転生するのです。
何代も前の先祖が凡夫の子孫に助けを求めるのはナンセンスだと分かるでしょう。
寺院の仏亊法要は先祖への感謝に始まる倫理道徳の現れです。
今迄、既成寺院は温厚過ぎました。仏教こそ、真理の救いたる、生命不滅の教えであります。
疑似仏教の多くが伏魔殿でなければ幸いです。
尤も既成真言宗や日蓮宗にも邪教の根源となるものがありますから注意を要します。
仏教学者は強い警告を不断に行うべきでしょう。
その意味で、密門会は常に自ら反省して、正法の運用をよく考え、
実際に早く救われる、智的仏教を弘めることを目的としてきました。
正法は医学の分野にも運用されます。心と肉体は一体であるべきです。
ところが現代唯物医学がやるのは全く逆のことです。難病になればなるほど、
研究材料にされてしまいます。人間を一個の物体としてしか見ないのです。
仏教は、宇宙生命の顕れによって精神と肉体とは一体なるが故に、
大日如来の大悲成仏神変加持の信仰によって、癌その他による悩みは速やかに除かれる。
或いは天寿の人は無痛安楽成仏するという、人類終極の解決を説いて来ました。いかなる仏教でも、
菩薩行実践の結果としての、健康な生活、大安楽往生を否定する筈はありません。
古来、禅も念仏も、求めるものは「法」であります。
その唯一絶対の「法」こそ、病に対しては最尊の救済となり、
更に円満安楽死を以て菩提の道とは何かを証することができるのであります。
現憲法が一億白痴化に利用され易いのは、信教の自由の名の下に虚構（嘘）を許し、
学校教育に宗教関係の科目が入れられないからです。
こうして、おかしな新日本人が形成されつつあるのです。
このままでは世界的に尊敬される日本人は生まれません。
現代は唯物主義が真理として万般を支配していて、これに盲従する学者も多いようです。
仏教者さえ忘れつつある、「法」とは何かの求道心がないためです。
精神の運用法によって、癌その他の難病に対する仏心不二の真理に立つ、
唯物医学に勝る救病法を実証して、先ず唯物主義の誤りを正すこと、
それによってのみ仏教は世界宗教として期待されるのであります。
それには先ず人の苦厄の元とされる霊障説を洗うことです。
迷いの第七末那識の作る業、
輪廻転生と仏教の霊魂不滅の教は第八識「阿頼耶識」
にあることを教えなければなりません。
ものごとをありのままに見る智恵即ち阿頼識の前に霊魂など出る幕がないのです。
「法」の無限広大なる救済力は大日如来神変加持の信心にあり、
これこそ護摩法に勝るものであることを声を大にして伝えたいのです。