社会主義国の体制建て直しに期待するのも、消費税反対で日本の大変革あるようにと期待するのも、その根底にお金があるからです。
お金が人間を支配し、振り廻しているとも言えましょう。社会主義国は、物や金の不足から、再び革命を起こしました。
日本は金余りであっても、女性が消費税に不満な思いを深くして、体制を変えようとするもののようです。
保守党の中にも、政界の再編成が必要だとする動きもありますが、いずれも、物主体の不平派と満足派との戦いです。
日本も外国も互いに負けまいとする熾烈な物欲の争いです。しかし、平和と唱えておることだけは結構なことです。
果たしてこれで真の平和が維持できればめでたし、めでたしということになりますが、それは期待できるものでしょうか。
心の無い文明は、空しさが消えません。武器は捨てられても、これからは経済戦に変化してゆきます。
これは、法規と貿易制限と自由貿易との戦いとして、もう既に始まっております。
欧米の秩序がキリスト教信仰によって支えられていることに、私たちはよく注目したいものです。
その教会中心の良い慣習を羨ましく思います。これは、全智全能の神中心の哲理故に、教会に信仰を集中し得るからです。
しかしながら、この教会の伝統ある日曜集会も、神の実在を否定する唯物論によって、年々若い者の出席が減じつつあることは、大いに注目すべきでしょう。
ここに於いて、神の否定に対する空しさを防ぐには、仏教しかないと思われてなりません。
宇宙創造の唯一神を否定するとは、マルクスの唯物論と同じですが、仏教は、唯物に代る信心、
唯識を説いて、心の偉大さを教えます。
でも、その心の真体は、物から離れた心ではありません。唯心の心は、物を含んだものであり、同体であるとするのです。
大乗仏教、特に密教では、物心不二の解明方法として、
六大無碍にして瑜伽していることを教えます。
これこそ大日如来なのです。仏教が物心不二を説き、四苦の解決を骨子としたものと知ると、従来の先徳方の行った布教と救済方法は、
心に偏したものであって、社会と隔離するごとき歩みではなかったかとさえ思われます。勿論各宗の大家も、物心不二の教えを説き、
心に偏したものではない筈ですが、物を扱うことに不潔感を表現して来たことは、やはり心に傾斜し過ぎた思いが残ります。
肉の病気を治すことを語ったり施法したりすることを外道視する、或は欲張り者の行うものだと考えたことは、大変な考え違いであると申すべきです。
道元、親鸞は鎌倉時代の代表者でありますが、共に現世厭離の考えをもち、
道元は禅堂の道場に只管打坐すれば成仏すると説き、
親鸞は現世に在って弥陀の本願を信じて浄土に往生することを救いとしました。
大日如来は、この世の現実の外に仏土はないとし、此の世の外に仏を求めることを迷いとしました。
禅では即心是仏を唱えますが、真言宗は即身成仏とします。これは因位と果位を区別するのです。
故に真言易行道によって、戴いている如来の大悲成仏加被力を信じて成仏できるのです。
道元が即心を仏としたことによって、後の禅者は、物の活用を不潔なものの如く考え、専ら悟を求める只管打坐や公案を解く清浄行を取りました。
真俗の区別は明瞭です。
真言を救世者として説くのは、宗祖空海の教えでなく、救主たる大日如来の説法です。
救世者たる真言を信じた刹那に救われたのですから、感謝の真言行となる、即ち真言は易行道を受け取った喜びであります。
大日如来は、一切衆生が救われる最も近き仏縁は、病む者が救われることだとおっしゃいます。
真言教主たる大日如来の教示は『大日経』に在り、人間が改めて悟る前にちゃんと『大日経』に明記してあります。
疑心厚く鉄の如き凡夫ですら往生は信じなくとも、生身の病苦から脱したいという心が起こるのは菩提心の芽生えであります。
この貴重な菩提の芽を切り捨てて、別な世界のあることを教えたのが浄土三部経であり、特に親鸞は『大無量寿経』を以って正法と断じたものです。
親鸞聖人は、信心の純潔を求め、徹底して不純な信心を廃し、人間の願望は全て雑行雑善と厳しく退けた。
親鸞が罪悪深重の凡夫だと云えば云う程、浄土易行道は、聖道門の高僧以上の極難信の狭い道を歩まれました。
清濁あわせて包み込む密教に比すれば、染濁をきらい、清浄のみ求める道と云える。
しかし、浄土に往生したら、直ちにこの世に還ることとなるのです。
如来は、衆生済度に多忙にして、とても浄土に安住して、往生の特殊な勝地に居る暇がありません。
また、安住することは、如来の本旨に非ず、常に苦界に入って、不信の衆生を救わんとするのが阿弥陀如来の真実の姿だと教えるのが親鸞です。
浄土教で現世利益を批判するのはよくわかります。目先の利のみ追求し、人生の一大事を忘れるからです。
それに浄土教が興隆した末法時代は地震・疫病・戦乱にあけくれた時代で、現世に望みを托すことはむつかしいと考えられた。
しかし、どんな些事でも全体に連なっております。真俗、迷悟、浄染を平等に見る目が如来の智慧慈悲の心です。
難病で苦しむ者の祈る気持が何で難行のつまらぬ自力行でしょうか。止むに止まれぬ祈りがあるから、
止むに止まれぬ如来の本誓が生まれてくるのです。
弥陀の四十八願の一つ一つをよくよくみれば、信心の徳により病ぐらい当然治す力が沸いてくることがわかります。
顕教では説かぬが、密教では具体的に病を治す法を説いている。その違いです。
自分の教えに説いていないから他でもすべてそうであるというのは偏屈な考えでしょう。
仏説は広大無尽で不可思議です。己の物指しではかるべきではありません。
浄土と云えば娑婆に対する世界のように考えられますが、悟りの世界とみれば、この娑婆世界を遍く照らす如来の智慧光と理解されましょう。
尽十方無碍光如来様の忙しさは大変なものです。
私たちは西方とやらの浄土を必要とせずに、此の世の苦界も住みようで楽土にも劣らぬものとなることを教えて貰いました。
不可思議光は、先ず病む者から早く与えられます。これは、本会の易行道を信じた皆さんが既に拝んでいることです。
治るも救い、安楽死も成仏の光であります。如何に弥陀の救いに求めても、病院に通い、薬を求めて悩む姿は隠しようもありません。
親鸞は、このような信心があっても、死を厭う程、煩悩が強い者を救う位に、阿弥陀如来の本願力は有難いのだと語っているが、
どうも私如き罪悪深重の者には素直に受け難いものがあります。病に苦しむ者に、この病を消したいという願心が起きることこそ、
自然なものだと信じております。その心を迷わせたのが、唯物論の魔説であり、また真言の布教でした。
私たちが、毎日病苦に追われて悩む者を加持の力で救うのを妨害するのは、大病院という殿堂です。
医は仁ならぬ、ソロバンであり、医学博士群の面子の犠牲者処理場です。病院から生還する難病者は僅かです。
今こそ、全人類を救う仏命を感じる私たちは、加持の成仏道は真言易行道であることを静かな中にも自信をもって語る運動を展開したいものです。
真言の救いは、宗派を超えて、みな同行とするのです。必ず真言救世の不思議を感じる筈です。陰徳を積む意味でも病に悩む人々を助けてあげて下さい。
最近は、加持を求める人々が増えて来ましたから、やがて私たちのみでは手不足になる時が来るでしょう。
どうぞ受講された方々には、実践行として一日一時間の加持の実習をする意味で、総本部か大阪本部へお申出下さい。
長患いで医療費が困る人も来ますので、是非救いの実をあげて下さい。こうして加持の救いの向上を図ることが大切です。
特に英語のできる会員の奉仕を待っております。
ついでにもう一言。会員の皆さんにお願い致します。拙著の注文短冊（スリップ）に書店の店番スタンプを求めて、本部に送ってください。
大阪では三人組んで、本日歩き短冊六十枚、本にして二百冊の注文スタンプを得ました。勿論売れなければ返本を受けますと言って下さい。
存外本屋さんが待っているかもしれません。邪本に飽きてきた証拠でしょう。