平成二年を恙なく迎えました。世界的に見ればマルクスの理論が逆目に出て日本人には考えられない圧政が続いた社会主義に、
国民の忍耐も限界に来て、御承知のような経過をたどりつつあります。
これと比べて日本は世界で最も税金の軽い国なのに、国民は政府を倒そうとしております。
今まで精神無視の原動力となって非行生徒、登校拒否と不平不満の鬱病を増やしていた日教組の理論的根拠は、
共産、社会主義両党の指導によるものです。その日教組はどんなことをしたのでしょうか。
日本の宗教の湮滅を謀って、宗教どころか親孝行、先祖への感謝、恩人への感謝、報恩行、人への親切を軽視し、
己を厳しく持する者が不運な目にあうことを当然としました。道徳教育に対しては、終戦後からストを脅しの手段として、
反対してきました。また立派な愛国精神は戦争につながるとして、反国家運動を革新と称してきました。
マスコミにしても然り。外国のニュースを伝えるにしても、共産国、社会主義国の大きな欠点と、国民の不平不満、
重税に苦しむ実情に触れることなく、むしろ社会主義賛美が多かったことは忘れていけません。
さてここで、税金の実態を考えてみましょう。米国をはじめ、先進国では、所得の低い、年間三百万円までの人でも、
十五万前後の税金を納めているのに、日本では一万円弱となっているのです。一面中堅高所得層になると、他の先進国に比べて、
大変な高率になっています。会社等の法人税にしても、世界で一番の高率となっております。
しかしここで問題なのは、消費税ではスエーデンは二三・四％、フランスは一八・六％、イギリスは一五％、
アメリカは日本の二、三倍の六％から九％だということです。その上に自由主義国のキリスト教信者は、収入の二％を献金しているようです。
こうしてみると、この先進国の日本人が、三％の消費税一つのために、唯物的社会主義国に変更しようとしていることは、
非常な危険なことだということがわかります。
つい数年前まで、中国のニュースを正しく報じたのは、産経新聞と日経新聞のみでした。
したがって、この正確な報道をした新聞社は、中国政治に取材を禁止されたものです。
その時、中国の代弁者となって、虚報し続けた、朝日新聞社をはじめ各大新聞社は、読者に謝罪したでしょうか。
消費税について、諸外国の税率と日本のそれを比較して、明瞭に報道した新聞はあったでしょうか。
十二月二十七日の産経新聞に評論家俵孝太郎氏のこのような正論が掲載されたので、私は遅いながらも、
税金のことを皆さんと共に考えてみようと思います。世界一低い税金の日本の消費税に反対していることは、
外国人から見ると日本人は税金は他人が納めるもの、福祉の恩恵はただで受けるものと考えていると映るとの話は、正しい見方です。
また老人福祉は、米国、英国の八倍の予算を行っております。英国では、医療保険は年間国民一人に八十万円で打ち切りの由です。
日本では一人、一カ月一千五百万円を、いや最近ではそれ以上の額を払った例があります。一カ月五百万円はざらにあります。
腎臓病で透析になると、一人で一カ年六百万円近くなる筈です。患者は保険を使うので五万円払うのみでしょう。
国民全部に満足を与えられる政治は仏の世界か、夢の国でもなければありえません。
消費税如き僅かな不平を国民運動にするとは、国民の幸福になる政策の要求は他にないのでしょうか。
どの政党も悉く、気が付かないのは、教育の中味の改革でなければならないのです。
三％の税金が廃止されれば、税金が減るのではありません。高福祉を要求する以上他の方法で国民の懐から取らねばならないのです。
ある所から取ればいいじゃないかと。これも人数の力で自分の利益のみを考えて、自分の支出を少なくしようとして、
選挙で運動すれば必ず不平票が勝つに決まっています。それで世の中が良くなるでしょうか。それでは闘争の世界になるだけです。
平和になったのは、平和運動の結果ではなく、世界大戦の犠牲が余りに大きく、誰もが平和の必要性を感じたからです。
もし、仮に犠牲が敗戦国のみで終わるのであれば、絶対に平和は来ません。
大国が軍備のために無駄金を用いて、ヘトヘトに疲れ、逆に日本と西ドイツの経済力が強くなり、
そのドイツさえも日本の経済力におされてきたから、レーガン、ゴルバチョフの二巨頭が共に方向転換を必要として、
やむなく平和政策となったのです。決して平和運動が勝ったものでなく、国力が元のようにあれば軍備を縮小することなどあり得ません。
この一事を仏教の目から見ると、煩悩、即ち過ぎた我欲を消す教育、人生観、未来観を反省し改めなければならないことを意味します。
我々はすぐには無我にはなりきれませんが、無我の哲理を理解することによって、譲り合う精神が育ちます。
この平和の根本哲学が学校教育で教えられなければ、悉く自己中心の幸福で、他の失敗を喜ぶ教育になるばかりです。
小心者作りの教育です。今の消費税に対する、小刻みの知恵者の論説は、病的で小さな人間像が根底にあるので、
目先の損得に執着する小人を養成するに過ぎません。
プロ野球の入団契約のニュースはどうでしょう。高校生たる選手が数千万円で契約したとの報道は、日本のために悲しまれてなりません。
あの夏の大会の入場式とは全く反対で、スポーツ精神、選手代表の宣誓は虚像だったのではありませんか。
清純にして聖なる学校が金で汚されつつあるのは誰の手によるものでしょうか。マスコミの手ではありませんか。
今のマスコミに正しい世論作りを期待するのは、危険なことです。
要するに精神不在の社会なのです。精神とは何かを知らぬ教育に育ったものが社会人となると当然、
物欲を大にして金儲けした者が偉いものと評価される社会を作るようになります。そこでは悪が必ず巧みに行われるわけです。
政党が汚職する前に、人間代議士の心が迷うのです。
精神価値の研究がなく、従って物心一致の進歩がなければ、結局人は養老院で孤独な死を待つのみで、
それも信仰の教養がなければ、悲惨な一生の終点を迎えることになります。そして暗い転生になるのです。
こうしてみると、私のような者の仏教運動をよく理解し、そして信心を得て、黙々と献金なさる方には唯々感激あるのみです。
これも皆様が偉大な法徳に理解と信頼を持っておられるからでしょう。
これはまた仏智のお働きが、会員信者各位に立派に生まれてきておる証拠でもあります。
即ち日々仏恩報謝の心で、真言行を続けさせて頂いているお蔭でもあります。
お正月の御祈祷のお申し込みが、昨年より増えていることを知って、昭和大仏建立、
加持殿建物の大改造と補修工事への充当にはずみがつきそうです。しかもありがたいことに青龍寺金堂に建立資金は予想外に早く、
献納が運んでおります。お陰様で思いどおりの収入があったと、二百万円、三百万円と献金下さる方もあります。
壱百万円は少ないがと言って、一匿名献金になさる方々も続いております。いずれも御本尊様の深きお計らいと存じます。
現今は国民はみなサラリー生活者です。年金生活者からも、「死んでゆく身に不安がなければよいのです」
とのお言葉と共に献金されたり、亡くなった父の仏事を完了して、残ったお金だと言って、百万円送って来られたりします。
私には光っているお金に見えました。仏法興隆に生かそうという心で一杯です。
建築工事は順調に進み、予定通り完成するものと考えられておりますが、豪華とまではゆかなくとも金堂が見えた時は、
ああ建立の甲斐があったと歓喜されること確実です。お浄土の精舎として恥ずかしからぬものにしたいと念じております。
今、内部の荘厳を研究しているところです。
献金の増額なさるお方は遠慮なく分納にして下さってよいのです。予定外の収入があったり、
予定外に支出が不要となったりした時は、目に見えない神仏のお導きと信じて下さい。
人の業は容易に献金や功徳行は出来難いものです。それを実践した時は、まことに快いもので、また命終の時には、
一大成仏の勝因となり、無痛安楽成仏するのです。
信は必ず報謝の功徳行となって表れるのであり、単に心の中の感謝で終わる筈はないことを、物心不二の真理は教えるのであります。
この理の分からぬ人は、次生に人間に生まれても、薄福小徳にして、不運多く、魔亊に障り易いものです。
現代人がよく言う如く「何故に私はこう不運続きなのでしょうか」ということになります。
ここが大切なところであって、運と不運といずれの道をとるか、尊い教訓が今、示されているのです。