九月の仁和寺講習会の申込みは、初めての方もだいぶいらっしゃるようで、皆さんが初級講習を待ち切れないで、
一回でも多く聞法、研修したいと思っておられるお気持ちがよくわかります。
実は、何返でも受講して、生活の中に仏心の影があることを見出して貰いたいのが、私の期待なのです。
僅か一、二年の間に自ら病苦が縁となり求めて救われた人、また他人様を紹介した甲斐があって、その喜びに浸り、
密教の素晴らしさに感動し、感謝の発露のあった人々を、受講資格者として認め、受講手続書を差上げたのであります。
単に密門会というだけでは物足らないと思う人もあるでしょうし、そういう人が、苦しむ人に指導するに当って、
その資格を与えてもらいたいと願っておられるお気持ちもわかりますので、そのために、青森の青龍寺は、
近く真言宗易行道として公称することにいたしております。
このことについては、既に高野山真言宗という清濁共に包容する大宗団から、今迄の密門会の内容はよく知っているから、
将来永久に祖山中心の報恩行を保てば、同じ真言宗の法友として、
一層祖師の教を広める一翼として容認するという内容を受けております。
実際に一派の旗を揚げる上には、貧弱な怪しげな、勝手に高野山何々寺を名宣ることはいたしません。
また自称大本山の類は宗門の威信に関係しますから出しません。
青龍寺は今年境内を多少拡張し、新しい参道と駐車場を設けました。
参道入口から大仏尊前迄、徒歩で千二百歩あり、大略六百米近く数えられます。
明年からは金堂の工事が始まり昭和六十五年完成の予定となっております。
実は本堂完成を以って開宗する考えもありましたが、最近県単位の講演会と講習会の約束が続いておりますので、
今年で他の出張講習は止めて、総て青龍寺主催で授法し、
礼儀と人倫を尊ぶ指導者に資格証を与えて互いに信者の喜びを広げたい所存なのであります。
既成宗派の寺院には法友として先輩の礼を忘れないようにして、全国にその輪を堅実に広げ、
そして仏教徒の原則たる十善戒は当然尊び、絶対他力の易行道を正しく実践して、
人類救済の釈尊に奉行するようにしたいのです。教理と実践法を狂わせ、
勝手に織田の弟子中最高の地位にあるなどと自画自賛して、しかも密門会に尻を向けて、
自利のみに志す輩が出現して、世の笑い者になることを防止したいものです。
在家会員は勿論僧侶ではありませんが、既に僧侶以上の法徳を具えた方々が増加しております。
その中には、医師もおられます。
決意できた時は、教師相当の免許を本尊さまから交附されることを承知して、九月講習を受けて下さい。
仁和寺の会場の都合もありますので、定員になり次第、締め切らしていただきます。
今回の講習会では、今迄なかったような実際に役立つことが多々あります。
自利の成仏道をめざすことは勿論ですが、その上、利他行として病人のみでなく、植物に対する加持法もあり、
農作業従事者としての指導者養成のためでもありますので、他人の農地をも加持する資格を取得する良き機会と思われます。
特に老人の年齢になっても、万年青年たる気持ちを養うには、大きく役立つでしょう。
奉仕の行をおこない、その成果を見て、自心の喜びとすることは、どれほど人々から尊敬されることでしょう。
一々金銭に結ばなくとも、真心を以て行う時は、福の神は決して見捨てないと思います。
日本農業の将来を展望する時、密教の必要性は愈々急だと思われてなりません。
この新しい面の本も出したいのですが、先ず体験者を養成してこそ信用は高まると考えております。
前にも申しました。英訳本の原稿も、われながら心密かに期待するものがあります。
キリスト教国に種子を蒔くことについて強い信念が湧くのは、その本の中に、
よく私の考えを纏めてあるからですが、問題はその正意を伝える英訳が出来るかどうかであります。
日本が、人類永久の救いの大国となることを諸天に祈るのみであります。
このことは根気を要することでありますが、社会の期待の切なることを感じるのです。
志を同じくする者の結集を待つ所以であります。