このたび密門会出版部より、拙著『密教の門』『密教からみた教育』の二冊が出来上がりました。
取次店を通じて、目下全国書店に配本されつつあります。
今迄、全国的に書店に売り出されたのは、全く下劣な、愚民用の霊感心霊書でした。
或は医師の書いた霊感療法でした。九州佐世保の自称超能力者の本に至っては、創作同様の内容です。
結局、全出版物中で一番売れなくなったのが、この類のインチキに似た、疑似宗教の雑本です。
確かに売れた本もあったようです。或る取次店の話では、一部の本は千部単位で終わっているために、
新刊の配給は多くて千五百冊より受けられないとのことです。その点、拙著は二社で一万冊を配給してくれました。
でも、本屋によっては、店頭が狭いので荷ほどきせずに、一週間で返本するところが五分の一もあるそうですが、
店頭に出して売れる本なら追加注文しますので、増刷を重ねる可能性も大きいわけです。
私の本の場合、読者から伝え聞いて買って下さる方が多いようですが、
私の本を仕入れるように本屋に頼んで下さる会員は極めて珍しいのです。
中には、いつも数冊を自宅に置いて、友人知人に進呈することを功徳行としておられる奇特な方もあります。
今回は大いに力強く感じたことがあります。今迄、巨額の宣伝費をかけて売る、或る教祖さまの本も、
全く、宣伝倒れと云われる程売れず、又、書店の信用にもかかわる程の愚劣な内容の本だと、
いかに商売とは言え、売らない方針の店も増えつつあるようです。
前は、内容は悪くても売れれば、“良書”というのが業界の常識とされていたのです。
次第に人々の心も落ち着いて来たのでしょう。
わが密門会は、法友各位の信用によって、今特別会員二百名余、正会員二千五百人を数えるようになりました。
一時疑似仏教に欺かれてから、正邪の別なく密教離れしたものの、後に冷静に反省して、密門会に入会される方、
本部を訪問される方が増しつつあります。これに力を得て今回、
始終不変の正しい仏教たる密教の重要な秘義をまとめた『密教の門』を出版することになりました。
その要約の英語版もすでに脱稿し、近く刊行の予定です。
世の中の邪説を論破してきたと申しても過言でない十五年間の私の著作活動です。
米国、ブラジル、シンガポール、韓国の法友は英訳を待望しておりますが、日本国内では、
今漸く心の目が開きつつあると言えそうです。
蒔かぬ種子ははえません。今迄既成仏教は、邪説に対して何らなすことなく、全くの無知というより、
邪説に流されて、仏様に対して申し訳がないという反省は微塵もなかったのです。
それどころか、却って邪教教団の献金を当てにしている本山もあって、
その連中に冷水三斗の思いをさせるのが『密教の門』の出版です。
それに展開される真に個人及び社会が苦悩から救われるにはどうしたらよいかという深く且つ実証をともなった教理は、
密教史上、どんな先徳も書いたことはなかったのです。
一介の住職の書いた拙い文ですが将来必ず歴史に残るものと確信しております。
お陰様で、時々知らない人から挨拶され恐縮することも少なくありません。
全国の密教僧は勿論、多くの在家の読者から拙著を読んでいただき、少しずつ、私の悲願が理解されつつあります。
＜略＞
又、献本運動として、医師には『密教の門』を学校の先生、ＰＴＡ役員には『密教から見た教育』を薦めて下さい。
過去を反省することによって、教育、医学界改革が起る善因にしたいものです。