昨秋頃から、各御家庭の仏前に置かれるようにと賽銭箱を希望者に差し上げて来ました。
この浄財は段々普及し、袋に移して東京、大阪本部にお供えされつつあります。始めのうち数は
少なかったのですが、先月から発展されて頂くようになりました。お受けしたまま発表していない
方もありますが、次から発表させて頂きます。本来は発表することはどうかと思ったものですが、
御仏のお金であり宗教法人のお金であって、住職の私用にすると思われてはいけませんので、
会計は明瞭にしたいのです。
東京本部の加持道場が大変狭くなり三階に立派な加持道場を造るためには、
どうしても二億円を要します。その為の資金として総べての加持料その他の収入を充当してきました。
お蔭で七阡万円程用意できましたが、これからの努力が必要です。でも、特に募財の活動をすることがなく、
真実信仰心による感謝の浄財が献じられることは、如来をはじめ諸天善神が御照覧下さることでしょう。
大口の献金もあり、有難いことです。密門会も次第に真成院の仏教活動として有識者の中に注目されつつ
あるのは有難いことと言わねばなりません。
要するに会員諸氏の間に、政治家も財界人も正純密教の偉大さを知らないことには、国や人類のために
大変な損失であるとの考えが生まれつつあるのです。
『多聞』の内容は、私の書いたことや語ったことが全てであっても，隆深師や赤坂隆証師が加筆したり
聖典を引用して裏付けてくれますから、どなたが読まれても、正しい信仰活動と認められるでしょう。
私も、隆深師も、隆玄師も、隆証師も、毎日の時間がもっと欲しいと思っています。
私も弟子達も加持は毎日平均六時間余、その他に法要、葬式がある、寺院間の交際がある、
原稿書きと校正、訪問者との応対あり、手紙の返事、電話で指導を受ける方もあります。
この多忙の中で一番嬉しく力になり、疲れが吹き飛ばされるのが、癌、その他の難病の症状が一日一日
快方に向かいつつあるという報告です。これは、期待通りの食べ物や薬に注意してくれたことと、
家庭にありながらの信仰生活、つまり勤行の賜なのです。
このように、救われる人は、始めはお加持を受ける料金を払えばよいという考えが多かったようですが、
今日では、癌等の不治の病が治った功徳の素晴しさは、とてもお加持料で済まされないという感恩の
厚い志を示すのです。現代人は、定価以上の価値は認めません。恩とか感謝はなく、当たりまえのことを
すればそれでよいという考えです。今迄数千人の癌、その他の難病を救って来ましたが、それを恩に感じ、
口伝えで新しい患者を導いてくれる方は少ないのです。病がお加持料で治れば、
今の医療費から言えば只同様であると云われます。もう治ったとしても、再発防止に数カ月の大事を
取るのが正しいのです。一人の癌患者が治る迄に、私にしても隆深にしても自由な時間はなく、
親類や親友の婚礼やその他の儀礼も欠礼が多いのです。講演に出張する時は、車中でもホテルでも特に
重症の依頼者のために加持を続けるのです。
本の広告によって、読者から問合せがあります。疑って疑って、稀に家族の意見が一致して、
やって来るのですが、残念ながら手遅れの病苦というのが多く、お断りしなければならないのは大変
辛いことなのです。中には、駄目でもお加持を受ければ死んでも満足ですとの熱烈な願いの人がありますが、
存外好転し治る例もあります。密門会では、ただ加持法を受付けるにとどまらず、常に病状報告を受けて
指導しています。病人の家族が報告を忘れているので、こちらから心配して見舞いの電話を入れるのは本当に
治したいし、治す自信があるからです。これは、他の宗教団体には見られないことでしょう。
大宣伝で一カ月に数百人数千人の祈祷を受付ける教団がありますが、そんなところでは、祈らずとも自然に
治る人が偶にあるのみです。何年信仰しても会員を何千人勧誘しても供養や功徳行をしても、死ねば、
功徳行が足らなかったからだ、星の暗剣殺が当たったからだで終わるものもあります。密門会は、
優秀な弟子を育てて、益々戦力を増大したいのですが、入門して直ちに加持法会得のみを願う者には、
真の法徳は生まれません。それにはどうしても、限界があります。何としても一切衆生を救わんという、
自分のことを考慮に入れぬ菩提心、菩薩心が大切です。会を利用して加持力で楽な生計を立てることを
もくろむ人もあります。
私が四十年間正純密教興隆の為御本尊様に奉仕修行したればこそ、今日漸く認められるようになったものです。
それでも不徳未熟なことのみです。広告費（本や講演会の新聞広告）を出しても、
その費用が入るのさえ困難なのは、真の法徳が生れていない為でしょう。
今日でも宣伝費を出してでも布教を行うのは、世間の密教に対する誤解を解く為です。
多くの宗教を求めて裏切られた人が正純密教も同じ穴のムジナだろうと、宗教アレルギーになっているからです。
したがって皆さん自らが、病む人とその家族に真実を語ってあげなければ、広告することさえ、
インチキにみられがちです。どうぞ皆さん悩む人を導いて下さい。密門会の皆さんが誠意をもって、
有縁の方に密教を説いていくのが何よりの布教です。これが財施であり法施の功徳行なのです。
更にその秘奥の哲理を活用することによって、仏国土は建設されるのです。