今年の密門会講習会は去る九月十三日から十五日、青森市城ヶ倉温泉で行われましたが、
定員百二十名に対して、早くから定員を超える盛況でした。熱心な第一回生も多く、今後が
楽しみに思われたことです。十回以上のベテラン会員も多く参加され、これまた心強い限り
です。
精神分析学の大家である大山順道先生の特別講話を拝聴できました。先生は曹洞宗の僧籍
にあられますが、精神の力が病身に大きな影響を与えることを体験に照して話されました。
人格円満な先生のお話に二時間半が一瞬のように感じられました。
私も幸い体調が良く、熱心な受講者の心が映ったためか、第七識、第八識の区別をお話し、
また第八識と生命について平素唱えてきた私の解釈を申し上げました。受講生からも感激し
た旨のお手紙を頂いて嬉しく思いました。
十四日晩の座談会にアンケートをとってみました。他人の病を加持して体験のあった者は
約五十人程ありましたが、今回は百四十五人の受講者のうち七十名が新しい会員ですから、
二回以上の受講者は殆んど加持の法徳を体験されたことになります。御仏の無限の恩恵に改
めて感謝するばかりでした。受講者の感想文を拝見し、更にテストの記述をみますと、二回
三回以上の方々は、みごとな向上ぶりで、迷信に随すことなく、正信の根を伸しつつあると
判断されました。初めての受講者は、テキストを見て書かれたにしても、問題を正しく把握
しておられることが分りました。まことに誠意にあふれた心の浄らかな人々の多いのに感心
させられました。
今回、開口一番に申上げたことは、密門会は拝み屋育成の組織ではなく、御仏の菩提心を
よく学び、信徳の表れが加持となり、苦悩多き、自身の安心立命は勿論のこと、更に如来の
五大願の成就として、学校教育の中に人類普遍の救いの教えたる仏教を入れる運動を展開せ
ねばならぬ、ということです。そうして、共に協力して、子孫のためは勿論、引いては、世
界人類の共同研究のために、縁の下の力持ちになりたいと申しました。よく理解してうなず
いておられた方も多いようです。
今回の座談会では、具体的に会員を増す努力も紹介されました。拙書を施本し、加持の威
徳を示した時に当然感謝の入会となることが一番堅実な発展法と感じさせられたことです。
加持の喜びを自分一人に秘蔵することは、法徳の慳貪の戒めがありますから、必ず『多聞』
を読むよう、同志を導くことを仏令と感じて下さい。
これからゆっくり答案を拝見して本会の教師認定の基礎資料とさせていただきます。第三
回受講証を受けた方から資格が認定されます。始めての方、二回目の方は、焦らず精神の向
上をはかって下さい。但し、如何に筆答は巧みでも、真に功徳力が発揮されない方、実際生
活の信仰に不審のある方、特に正純密教の趣意に添わぬ方は審査は遠慮させていただきます。
会員のお話によって、密門会の組織強化が叫ばれていることを承り、真に気強い思いがし
ております。会組織は東京本部を中心として、関西本部、東北本部を開設しておりますが、
実際は、広島の○○支部、北海道に○○寺の○○僧正と○○寺の○○僧正がおり、
更に九州福岡支部として、○○氏が自宅を開放して、○○氏その他の方々の協力で体
裁を整えつつあります。従来の寺院の同志の一層の御協力を期待致します。
ここでちょっと御注意申し上げます。在家生活の会員は、得度を受けても居士としての自
覚をなされて、法衣の着用は遠慮していただきたいのです。得度を受ければ直ちに僧の資格
を得るとするような誤解はなさらぬよう今から明確にしておきましょう。
また、他宗派での得度者は、私の弟子ではないので、こちらからご遠慮申し上げて、互い
にすっきりした形で訪問の研修を続けるべきでしょう。
従来真言宗各本山が度牒を出し僧籍を与えても、教学、教化方面に規律がないため、邪教
化しても一言も注意を与えることがありません。宗門立大学の教授自体が、無知、怠慢の故
に時々邪教集団の提灯を持たされ、恥をさらし、陰で指弾されているではありませんか。仏
教を公称する集団の教義に邪説を発見すれば、直ちに忠告して改めさすのが、学者の使命で
しょう。単なる研究発表ばかりでは仕方がないので、正邪をよく分別することがなければ、
破戒の最たるものと言わねばなりません。
密門会会員は、如来五大願への協力こそ功徳力と自覚し、誇りを持って大いに活動なさっ
て下さい。密門会大阪センターの開設にあたって特に西の会員の活用を期待します。幸に去
る九月二十八日仮開場して以来、九州からの訪問者も多く、今後への期待の大きいことが分
かります。
最後にお願いしたいのですが、会員自身が定年退職され、何か奉仕事業でもやろうという
意のある方は、是非本会にお申込み下さい。加持の手伝い、原稿整理、場内清掃、その他の
手伝い、会員との応対、手紙の返事、或は書店関係の渉外的役割をしていただきたいのです。
自分を売ってやろう。一儲けしようという方はふさわしくありません。塵にまみれても厭わ
ぬ純真な心の方にお願いするのです。東京も大阪も将来は九州も名古屋も同様です。皆様の
ご協力を待つ次第であります。