密門会ホームページ

　今年は岡山市を始めとし、名古屋市、仙台市で講演会を開催しましたが、○○先生、 ○○さん、○○さん、○○さん等多くの世話人方の多大なるご協力を頂き、盛会を得ました。ここに厚く感謝申し上げます。後のなって知ったことですが、講演を心から求めて来聴された難病の方々が、会場に入るなり、霊徳に浴して全身から苦痛が去り、永年の病気から脱した思いがしたということで、昨年の徳島、高知、福山同様に、無相三密の加持の実証が示されたのです。さすが会場で目立つような報告はせずに、講演が終わってから控室に来られた島根県益田市の○○さん、岡山の○○さん、その他帰ってから聴聞した方々のお手紙やお電話を頂いて、仏教の救いが心と肉体にそれぞれ証されたことを共に喜びました。山陽新聞や中日新聞の後援を得たため、広告の中に病める人が集まるようにという意味のことを出せず、従って聴衆は元気な人が多く、広告によらずに拙著を呼んで来られた方の中に、病気の人があったようです。

　釈尊の教えの源泉たる経典の中には、一々病気に悩んで求める者のためのお説法は少ないのでありますが、三毒の煩悩こそ難病の最大原因ですから、正法を求め、迷いを払った信者は自然に元気で、修行に励まれています。密教に至って、病気も救済の対象としてとり入れられ、更に衆生済度に現れた諸仏の救いが、いろんな方面に示されるようになりますが、釈尊の時代は文字も印刷も紙もなく、物質的には不便な時代でしたから、釈尊は口説一つによってお説きになったものです。仏典中、病気に対しては、お弟子の耆婆(きば) 氏によるさまざまな救いを知ることができますが、この方は医師であって仏弟子となられたお方でありますから、普通の人では行えないことをなさったのでしょう。

　総ての密教には、対病人加持の法として説く三密の行法がありますが、これは有相の三密であります。少なくとも真言を誦し、経を読み、印を結んで、本尊さまと病者と行者との三者一体観をして瑜伽境に進むものです。阿字観を修したり、或いは護摩を炊きます。近頃は柴灯護摩も、今迄にない大きな檀木を家程の大きさに積み上げて、数十人の山伏姿の連中が読経して、炎々と燃えさからせる見事なものも出て来ました。阿含宗顔負けの、五檀に設けて行われる山伏の大先生もあるようです。

　これ程のものをやるには大変なお金と準備と信者が動員されるのです。さぞかし大きな御利益が期待されるのでしょう。

　これに比べると。密門会の加持法は、まことに静かなもので、講演会の聴衆は、いつの間にか永年の難病が癒やされる。少なくとも治る自信を与えられる。これは、今迄の伝授の法にもないのでありますが、如来の教えを信受すればそうなるのが当り前のことなのです。

　ただ講演の内容は、特に病の治る暗示的な指導を旨としていないので、暗示なしにどうして治すのかと不審の念をいだいている人もいると思います。釈尊の説法に治病のあったことを暗示する経典は見当りませんが、私の講演自体は、常に人を愛し安心を得て、世を憂い、国、人類の福祉の根本道を叫ぶのみで、その道は、三宝即ち仏法僧の復興の外にないのです。治病はそれ故、二義的なものであります。仙台では二時間半の説法でしたが、よくも退屈して座を立たずに、最後迄聞いて下さったものと、ありがたく思いました。私が語るのではない、三宝弘通の心が力となり、声となり、五智の大悲の真実が証しを現わされたものと確信して止みません。

　これからは誰に憚(はばか)ることなく、真心から求める者は速疾に救われることを公称したいと反省させられます。私はあと何年叫べるか、寸暇を惜しんで勉強し、又縁の熟するところに立って、如来の声を伝えたいものと思っております。講演会がその場限りで終わるのではまことに空しさを感じます。

　やはりまとまった教理の実修法を教える必要を感じ、今年は急に九月十三、十四日の両日を、青森市の秘境たる城ヶ倉(じょがくら)の温泉旅館を全館借切って行うことにいたしました。今年の講師には精神分析の大家、○○先生を迎えます。先生は国際精神分析学会で有名であった、弘前大学の○○学長と共に知られた方ですが、二時間の講義を頂くことになりました。先生は曹洞宗の寺院の住職でもありますから、単なる学者ではなく、正に禅境の実践家なのです。常に経典の教えと実践に立って研ぎ澄した心境の達人でありますから、私も拝聴の好運に浴することを喜んで居ります。青森市の昭和大仏からバスで会場宿舎迄、案内いたします。城ヶ倉温泉は八甲田山連峰の中腹にある清水噴出の聖地であり、仏像も安置されているのは、創建者で仏教信仰厚き、故丹野医師の信仰の現れであります。縁あって密門会の講伝の道場となりますが、朝夕温泉に恵まれ、又十和田湖も近くでありますから、絶好の会場と申せましょう。『多聞』の募集要項をよく読んで手続して下さることを期待いたします。

　今回の講習会は、南の方々には遠いことになりますが、本州の最北の地で、静寂なことは高野山よりも深く高いお山であることからも最適の場所と考えます。十和田湖観光道のお蔭で発見された出で湯の里であり、ヒメマスの養魚場でもありますから、又清水の豊富な、大自然の庭園をも持っているのです。密門会の皆さんは、この地が二度と得られない健康の聖地であることを知られるでしょう。二泊三日は保養のためにも好機と存じます。講習会のお蔭で有縁の方々とお会いする幸せを感じられることでしょう。