凡そ宗教を信仰する者は、どの宗教であろうと、供養作法を実行していると思います。
俗に『門徒物知らず』と言われる真宗の門徒も、毎日お仏壇に手を合わせます。真言宗の信者は、
もっと多くのお供養を致します。信仰のない人にはとても勤まりません。各宗それぞれ供養という
ことを申しますが、真言宗の立場で考えますと、一体供養することには、どんな意味とお蔭がある
のかについて述べてみましょう。これは勿論、信仰する本尊様にもよります。お稲荷様には油揚と
赤飯が付きもの。聖天様には大根、大黒天様には黒豆、お寺によっては更に特徴があるでしょう。
お宮では昆布、野菜、お酒、お頭付きの魚、特に鯛は上々の供養です。密教では、大切な供養を
上品の供養、以下中品の供養、
下品の供養として教えておりますが、
これ等は何れも下品の供養であります。
報恩感謝の精神が起る時は、何か形のある物を仏前にお供え致します。密教の供物については、
飯、汁、餅、菜の四種を、眷属衆にお供養します。
俗慾を成就するために、天部鬼神衆を眷属衆と
するのです。天部でも高級な仏位を兼ねたお方、例えば毘沙門天、それから菩薩、如来には六度の
供養と申しまして、布施の行を致しますと誓って、まず閼伽水をお供えし、
持戒の表現として塗香
を行い。忍耐して美を保つ努力として華曼を供えます。
次に精進努力を誓うのが焼香です、
線香の如く、一たび点火すると途中で止まることなく焚尽するという意味です。五番目には、
禅の実修を誓うことです。真言行も同じことで、真言をお唱えしていると、段々精神が落着き禅境
に入ることを示します。飯食を備えることでそれを象徴するのです。餓えた時程人間が心の落着きを
失うことはありません。餓えから脱するために、食を求めて心は乱れるし、満腹すれば安心して眠く
なることからもわかります。最も尊い供養は、般若智になる努力をするという供養です。これで仏智を
得ることになりますから、最高の供養となるので、それをお燈明をお供えすることで象徴します。
皆さん、ここです。この仏智を全人類即ち一切衆生に与える努力こそ、密門会の最大の供養法で
なければなりません。日頃私は、学校教育の中に仏教を入れることを念願して来ました。唯私一人考えた
のみでは成就しません。私のこの願は仏の本誓にむくいるこの上なき供養法であり、しかも国民世論が
高まれば、文教方面に関心のある政治家の集いが期待されますから、教育制度も速やかに活きた作用が
発揮できるものと信じております。
昭和大仏建立の一大目的は茲にあるのです。
千年先を見通した願ですが、今科学者も精神面の解明に
視点を向けつつあります。密門会会員が、心一つで諸難病を癒す事実を弘めることによって、専門知識
のみでなく、たとい家庭の主婦であっても、老人であっても、正しい教を信じ実践する者は、苦行難行
なしで功徳があることを世人に納得させたいものです。
密門会の供養心こそ、五大願に言う『衆生無辺請願度』に通ずる基礎であり、この最大供養心が、
会員増大運動の必須条件ともなるという理をよく理解してください。そういう方にこそ大日如来の
諸大眷属衆の、勿体ない程のお利益が求めずして授かるのでありましょう。私は、この体験に常に
感謝して、焦らずに供養心を一層強く持しておるつもりであります。一人の会員を導く尊さは必ず
御自身が体験なさることによって知られるものと断言申上げます。随って、ただ加持のみで病気を
治せるからと満足したり慢心したりしては、逆に諸天善神の驚覚の災厄を当てられる理由も理解できる
ものと存じます。葬式等は悲願がなく、随って別に御仏のお加護もなく、ただ職業的に生きている
だけの凡夫生活ですから、そこには罰はありませんが、向上精神と菩提心がなければ、家庭の破綻が
来ることは勿論のことで、災厄を防ぐことは困難です。諸行無常は在家のみにあるのではありません。
僧侶と雖も輪廻の身であります。
こういう意味で、供養を知れば知る程密門会の必要性を感ずるのです。絶対他力の易行道の密門会会員
の皆さんは、総合仏教としての仏教徒であります。そして自分及び家族全員が、まず健康であること、
そして隣人もそのようであるために、日本は勿論、全人類が、この教の徳に浴することを目的に
しなければなりません。そうでないと勤行本の次第の中にある五大願の成就は、単に絵に描いた餅、
いや印刷の上にあるだけで終わります。
この如来の大誓願に御協力申上げるのが仏教徒の責任であり、しかも無終の大願であります。
それには先ず、私が常に主張する通り、学校教育の中に仏教が必修科目として入らなければ、
多くの先徳方が身命を賭して今日迄つちかってきた世界で最後の大乗仏教精神が亡んでしまいます。
犯罪が増加し、国防予算に泣くのみです。それは仏心を持たぬ人類が造る業なのです。即ち五戒十善戒
を破り、単に自己のみあって国も他人もないという行いであります。
加持の成仏道は、肉親のみの救いでなく、社会国家の“病気”を治す道なのです。これこそ人類の宝法です。
御仏の誓願は同時に自分の誓願であると悟ってこそ、法徳は一層輝くことになるのであります。加持力が
するのです。
密門会の目的は、自身の救いは同時に社会の救いであると堅く深く見究め、全身を挙げて実践努力する
ことであり、それが同時に真の加持成仏の願であります。成仏すると、大悲の発動が即時に湧くから当然
のこととして、我が身の病弊を自覚すると共に社会全体の病を知ることになります。知るからこそ改革の
必要を演説し、実践していくのです。
経典は、参集者に対する釈尊の獅子吼した演説集なのです。仏教徒の演説こそ、今の世に一番必要なのです。
御協力下さい。あなたのためにも、子孫のためにも、そして隣人のためにも、正しい教えが世に行われるように。