皆様、明けましておめでとうございます。ここに魔事なく『多聞』創刊以来八回目のお正月を迎えることが出来ました。
喜ばしい限りです。旧年中は昭和大仏開眼迄に、会員の皆さんと功徳を積ませて頂きましたが、珍しく全国紙に写真まで出して報道され、
些か面映いところです。偏に如来の思召と申さざるを得ません。
こうして私共は、正純密教の包容力と、三密加持速疾顕の教説を実践し、人類救済の大悲願を弘める責任を更めて感じるのです。
今日のような科学の進歩した時代に必要なのは、大智と大悲の宗教であります。
仏教外の宗教は、真理を口に唱えても、根本的教理を説くべき聖典の中味は、どう好意的に読んでも、余りに非科学的であります。
感情に訴える神の愛のみでは未来宗教と言えるでしょうか。
誰が決めたのか、宗教は科学の世界とは別物であり、科学的な見方は神を冒涜するものであるとされます。
随って教育の中に宗教は論じられてはならないというのですが、かような考えは全く虚妄です。
先進国たるの資格は、真実の宗教が盛んであり、信奉する神が永久不変の教格を備えることになければなりません。
それ故仏教は文明人の智と心を動かして、公平な批判を受けたいものです。
仏教は死のためのみの宗教ではなく、又個人の安心立命に止まるものでもなく、全世界の人も物も生かす教えであります。
人間の成仏のみでなく、天地一切の存在が仏であることを悟るに至る宗教です。
曼荼羅上の諸仏の誓願は、悉く大日如来の一切の誓願を分けて表現したものであることを想起したいものです。
科学自体にしても、真理の一面を表すものです。
そこで唯物論的な考えに立つ人々が、心の世界、精神の価値とは、道徳的、感情的に無視できないという理由で許容するのは、
結局のところ今の哲学、心理学では、未だ密教の解明が充分になされないからです。
今日の科学の先端に立つ医学は、治病を期待されながら、その成果がまことに寂しい限りであるばかりでなく、
寧ろ造病医学と評されても止むない事実が多すぎます。
特に我が国では医学の常識が全く皆無同様で、徒らに患者がモルモット化されたり、医師の収入源にされたり、
その被害は甚大だと毎日のように聞かされます。
これと共に指摘したいのは、科学に信用を置かない人々が、迷い込む迷信邪教であります。
密教では、方便の重要なることを承知して、最高の悟り、最高の仏意に昇るにはどうしても初めから入ることは困難だというので、
方便こそ仏の最大なる苦心の作業であるとします。
今は仏教宗派同士の論争の時代ではなく、以て非なる宗教産業の商人共によって振廻されてきた日本の宗教界を正視し、
諸悪の根源たる無戒邪行を浄化することが必要です。
吾が密門会は小グループながら堅い信仰に基づいて、正しい研修に邁進する信仰団体でありますが、
日に日に会員諸賢の宗教体験の報告が増してきましたことは、まことに有難いことであります。
去る十月末に不思議な御縁で、関西に結縁を広める家を得ることになりました。
○○さんの縁で、密門会会員のお家が授かったのです。これは即ちミニ関西本部であって、これからどういう助縁が寄って来るか期待されます。
新宗教の渦巻の中に、密門会関西本部の存在が知られたことは、社会的に大きな意義があるのです。
仏教は体験を尊びます。救いとは効能書の羅列でなく、直接即時に効験を悟ることです。
何年先に治してもらうとか、悪因縁を切ってから治してもらうという誤魔化しは許されません。
この多忙な時代には遠慮のない反省が必要です。引き入れられて。未だ救われぬうちは、
その教団の言う通りに奉仕と供養で追われて気が付かないのですが、これが過ぎると、
羊飼いの役目に得意になっている先導者の顔が次第に狂人的になりつつあることを知ります。
彼等の弁舌そのものが、仏眼からみると、真に哀れなものなのです。
昨年春『信仰に迷わぬ百問答』を刊行しましたが、未だ出版元への注文が続いており、大変功徳を施したものと喜んでおります。
さて、この関西本部が狭いことはわかり切っておりますが、資金の貧しい現状としては、却って誇りにしたいところで、
将来関西の創世期を語り、笑い合える日もあるでしょう。東京真成院は総本部として、今迄は事務局にも専従者なく、甚だ落度の多いことでしたが、
今年は事務局としての態勢が整うように努力致します。