前号にも申しましたが、日本テレビ〔読売系〕のルックルックこんにちは「何でも相談、ズバリ回答」の番組に私が招かれたのが十一月十三日からです。
初めて出てから電話が殺到、二回目の十一月二十日は、一日中電話が鳴り放しでした。手紙も毎日のように来ました。
日本テレビ宛が最も多く、私の方へも廻送やら、問合せやら沢山ありました。
又地方のテレビ局でも、織田の住所を知らせてくれとの電話が多く、地方局もそのため困り果て、中には織田を降ろせという声もあるとのことです。
公平に見ていかに全国に悩む人が多いか、科学万能主義の文化人たちが、
はなやかに見える世の中に科学と福祉法の恩恵に浴して楽しい生活ができる人は甚だ少ないのではないか、
又この悩みに付け込む新興宗教がどんなに多いかということが言えると思います。
各教団本部の偉容を誇るような大廈高楼は巨額の浄財によって成ったのでしょう。
それは心からの感謝の気持で寄せたものであり巧みな誘いの話術で信者を盲信せしめた結果でなければ幸です。
テレビのおかげで知ったことは、
十年二十年の信仰者の悩みは増すとも減じないということや途中でやめると法罰が当るのを恐れて来たというのが殆どです。
中には入信しても熱心になれなかった人もあります。
どのような問答なのか御覧にならない人の為に一寸と申し上げますと、永年不治の病のみならず、不運つづきの原因は先祖の因縁祟り、
障りにあるのではないかとの問いに対して私は釈尊の教の如く、そのような数百年前の先祖の霊が障るとか、
水子霊が病原だとか、方位が悪いからだということはなく、総べて自分と社会の業であるから自分は懺悔行をし、
外部社会の業に対しては、忍耐を必要とし社会制度の改善、教育の改革がなければならないこと、
更には国際的に共同の協議による改革が必要であることを述べてきました。相談者は多分織田は何事も透視し、
霊視できるから難病を救ってきたものと当てにして来たのでしょう。だからガッカリした人もあるようですが、
それだけ日本の仏教徒は教えを正式に受けないで、妄想を勝手に仏教信仰だと思い込んで来たものと言えるのです。
私がそう言いますと、そうですとお答えになります。正直です。その信仰の誤りは永い間の真言、天台、日蓮の支流の邪道化した祈祷か、
行者間の天狗話で、物知り顔の大先達と称する者が語った虚言を聞くのが正しい教だと早合点し、
それがいつの間にやらつもりつもって日本人の仏教観を狂わせた原因でないかと思うのです。事実先徳の筆記録や、
版に成ったものの中には加持祈祷の指導書とも言うべき秘伝書がありますが、多くは外道同様の話です。
三密の中の印契、真言、意密を読んでも怪しいものがあります。私は昭和九年に高野山に登りましたが、在山六年の間に手にした本は、
今思うとおかしなものでした。結局山伏連中や、拝み屋が欲しがった本のようです。
随って私が正しい現世利益を示して語る内容は彼等の今迄の信心に水を掛けるような形になる訳です。
そこでこの番組は不評ではないかと思いましたが、反って信頼される結果になって来たようです。
同じ宗内の僧侶には織田は変な事を言うと思う人もあるでしょう。
折角霊魂説で信仰を広げられるのに業論を云われると信仰が失われるという考えもあるのではないかと思います。
又全く我れ関せずの坊さんも少なくないようです。
これだけ反響があるのに良い番組に出られて良かったと言ってくれる人はほんの二、三人の友人のみです。
一部新興宗教にはテレビ番組を変更させねば自分達の教団の崩壊につながるとの危惧を抱く向きもあるようです。
これでは何とかして織田を降ろすような工作も生れるとも限りません。一昨年の「密教宝庫を開く」の広告掲載を断られた事を思い出します。
二月七日放送番組は、永年某宗教に入っていた方の切実な救いを求めた投書をテレビ局が取り上げ、
その苦しみを少しでも解決したいという暖かい気持から私に相談に来ました。しかしこれが後思いもよらぬ事件を引き起し、
私は番組を降りざるを得なくなりました。それは、
某教団がテレビ局と私が結託して故意にその宗団を誹謗したからという理由にもならぬ推測によるものです。
しかし、ありがたいことは、実際に取材に当った担当者は、私の加持の実証が即時に現れるので、感心してくれ、
この番組がこれで終るのは非常に残念なことだと云ってくれたことです。
正しいことはいずれ世に認められる日が来ると思います。会員の皆様には会報で案内したばかりなのにこういう結果になりましたが、
この事情をご理解下さい。