昨年十二月六日に突然電話があり、日本テレビの朝の番組「ルックルックこんにちは、ズバリ解答何でも相談」の中で、
病気に悩む人々の相談への回答者として選ばれました。『祟りが原因か？』が最も多い質問でしたが、あちこちの病院で治らないので、
宗教に救いを求める例が殆どでした。
超能力者、霊能者という大先生の霊視？により、先祖の中に不成仏霊がある。或いは水子の祟りだと判定され、
悪霊の障りを除いて貰ったり、よい墓相のものを建造したものの、病は重くなるばかり、
思い余って日本テレビの相談室に救いを求めた人々の多いのには驚きました。正月十日の相談者は、
奥さんに不治の病とされる脳萎縮症が発病して十年、全く自律不可能な、動物よりもひどい状態であることを訴えました。
失禁は勿論のこと、歩行して物に突き当って、器物を破壊したり、自分も外傷を受けたりして、危険この上ないとのこと。
暴れるのは薬で抑圧して静かになったが、そのため失禁する。御主人も大弱りで、付添人になる人がいないと云う具合。
商売を廃業しても妻の病気を治したい、これ以上の進行を止めたいとの願いで、名のある宗教を訪ね求めてみたが、
何れも同じようなことで証拠の示しようもない霊の障り、不成仏霊が原因だと言うのです。先祖の霊の供養をしたり、
墓をつくり直したりしたが、何も効果がなく、まるで金を捨ててきたような経過を聞かされました。
同様の人々がワンさと相談を申込んで来るというのには、再度驚きました。
私は先祖の霊も水子の霊も不浄霊も見ることができません。けれども、
釈尊の正説に照らしてみると霊魂なるものが何一つ私の心眼に拉えることができないのが真実なのです。
しかし、私は正純仏教の僧として無力感を感じません。真実の加持力を教の如く実行すれば、必ず苦悩を解消することができて、
教益を施すことができるということです。それなのに、どうしたものか宗門の僧侶方が行わず、希に加持祈祷の護摩修行を謳った本が出ますが、
その多くは、残念乍霊障屋さんの商魂に過ぎません。素人用の天部魔神の交流雑部密教なのです。
このようなことだから、私は邪師邪行の宣伝密教を叩いてきたのです。その私に協力しないのが、真言宗各本山会です。
このままゆけば正純密教は滅んでしまうだけです。
かく憂うる時、意を強くするのは、我が密門会会員の存在です。しかも嬉しいことに段々に法友が増加して来ています。
今年中には二千人を超し、来年は三千余を数えられるものと信じます。
『活きる信仰座談会』の看板は、世を乱す邪教に悩み、迷わされている人々に、よき光を掲げるものでなければなりません。
現実世界には苦は当然あるべきことが真実なることを知らず、何事も意のままになるものと考えている常見が多いので、
そこに迷信邪教が踊る地盤ができて来るのです。加えて科学過信で病院に行けばどんな病気でも治るものだという期待があります。
現代人は仏教のお説教も、
正しい仏書も知らずに摩訶不思議な宣伝超能力や、元に悪霊がさも存在するが如く宣伝する霊魂に妙に何の疑問もなく吸い込まれ、
損をするように出来ているのでしょうか。
否です。今の日本人に仏教常識がないからです。
私を訪問する人々も殆ど同じ考えのようで、お払いをして下さい。霊障たる不成仏霊を払って下さいと言う人がいますが、
こんな人は邪教にとってはネギを背負った鴨のようなものです。祈祷屋は早速その願を叶えると称して祈るでしょうが、
私の方ではそれを諭して正しい信仰観を説きます。折角来てくれるのに申し訳ない気持ですが幸に話せば理解の早い皆様です。
こうして病は加持によって救われ、懺悔行によって宿業を自覚すると心が清浄になり、明るい生活に生れ変ります。
このような正しい精神によって福徳も授かるのが自然の理です。
毘沙門天様は仏法守護の天神です。仏教徒を守って下さっていることを深く感謝して、苦境を切り抜け再出発しなければなりません。
密教は決して難行ではありません。智の宗教であると共に、精神界の秘密を解明して、
現代科学に最も信頼される哲理と実践を示し文明人の宗教とはこれであることを悟らせる宗教です。
〔日本テレビに出て、ますますこのことを痛感した次第です〕