私は常に、癌は抗癌剤や手術を受けない人なら比較的早期に治ることを述べてきました。
霊の障りで癌が起るという邪説を破って来ましたが、残念ながら、専門の医学界は私の行う実例には見向きもしません。
癌患者を救うべく加持を施して、直ちに著効が現れることに就いても、医師は抗癌剤が効いたものと誤解するのが常です。
余りに急に好転した症状を診て、不審に思って、頭をかしげる担当医師を見ることの報告も当然あってもよい筈と確信しておりました。
患者のベッドの上にある『難病を救う真言密教』を見て、「よい本を読んでいますねえ」と申された医師があったということを聞いて、
さすがに私は嬉しい思いでした。
毎月癌の人を助けておりますが、時には、長くなると、抗癌剤の効く時が来たから治ったので、お加持の力のみではないと言って、
加持を止める人もあります。又電話一本で『お陰で退院しました』と言うものもありますが、
治った人は月詣りの報恩行があるのが人の道ではないでしょうか。癌という不治の病を、二ヶ月三ヶ月、時には医薬に求める前の患者なら、
一週間で治った実例もある、というのにです。
治って感謝を以て生涯報恩の志で月詣りする人は、助けた数にしては甚だ少ないようです。
他の宗教では、義務的な月詣りどころか、様々な奉仕供養を命じるのは、癌でない病気が治った場合も同様だと、よく耳にします。
加持の世界から申上げる言葉は、皆様の耳にタコが出来る程申上げて来ましたが、人間の身体には癌を解消する能力、機能があるのです。
加持すればその機能が強化されて著効をみせるのであるということです。白血病なら二三日で治る、
一回で白血病の疑が消えた学童があるのは当然なことです。このような実例と道理を語っても、密教僧自体が疑い深い目をして、
聞き直す程の熱意さえ感じられないのが普通です。
『サンケイ新聞』昭和五十七年十一月十六日付朝刊の第一面に出たのは。「ガン治療”第五の道“開く」の見出しでした。その記事を引用しますと、
十六年前、日本で発見された細胞内のナゾの物質「ポリＡＤＰ-リボース」に、
発がん原因とされる遺伝子の傷〔突然変異〕を治す重要な働きのあることが、東京・築地の国立癌センター研究所などの研究で明らかになった。〔略〕
ガンの治療法としてはこれまで１．手術２．放射線治療３．化学治療４．免疫療法の四つの療法があり、
2と3と4を併用した方法が有効とされてきたが、三輪部長らが試みた方法はガン細胞のメカニズムそのものにメスを入れるもので、
新しい第五の治療法の道を開く可能性を秘めている。
国立癌センターの杉村隆所長と京大の早石修教授によって十六年前に発見されたというのです。
又国立癌センター研究所の三輪正直先生、ウィルス部長寺日雅昭先生の手で研究が続けられて来たことが報道されております。
同紙の末文には、癌研究会付属研究所〔大塚〕の井川洋二氏の談話として「ポリＡＤＰ-リポース」は一時第三の核酸と騒がれたナゾの物質で、
細胞増殖や分仕にどのようにかかわっているかが長い間わからなかった。三輪先生たちの努力でその物質の発ガン過程における役割がわかり、
治療面でのきっかけがつかめたことの意義は大きい。
しかし、この物質の働きが完全にわかったとはいえない。ガン以外のさまざまな難病を解明するうえでも大きなカギを握っていると思われるので、
私たちは更に研究を積み重ねていかなければならない」と書いてあります。
皆さん、第三の核酸と言われる物質の正体は完全に分らないにしても、
また加持によってこの物質が増殖することの究明は未だ科学的には出来ないにしても、現に密教の世界では直感的に結論が出ているではありませんか。
結局病を早期に、副作用なしに治すのは、今日ではいかに名医名薬剤師が努力しても、
真言行者一人の僅かな力にすら及ばないことを直言するところです。
密門会の皆さん、私が常日頃言うことは、一織田をして語らしめているものであります。
世のため人のために、一日も早く医学者が、密教を正視されることが、人類福祉の一大因縁になるのです。
昭和五十八年は、入院前の癌の人を知ったら是非密教に導く運動に協力されることをお願いする所以です。
勿論、癌以外の病でも歓迎しますが、差当り癌制圧が密教実践に影響が大きいこと、それにより世を啓蒙したいがためであります。